この記事の目次
法人成りとは?
法人成りとは、下記のような事項を指します。
個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、事業を法人に変更すること。
個人事業として行っていた事業を、法人にも引き継がせる点が大きな特徴です。
一から会社設立をするのではなく、個人事業主としての資産・負債などを新会社に継承させ、事業を継続して行うプロセスとなります。
個人事業主の法人成りについて、より詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!
個人事業主が法人成りするメリット5つ
「個人事業主が法人成りすると、どのようなメリットがあるの?」と、疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この項目では、個人事業主が法人成りするメリット5つを紹介します。ぜひ参考にしてください。
(1)節税できる可能性がある
1つ目のメリットは、節税できる可能性があることです。
個人事業主と法人では、課税される税金が異なります。
詳細については、下記をご覧ください。
<個人事業主に課せられる税金>
所得税
<所得税の特徴>
個人事業主の所得税は、5~45%の7段階に区分されている。
所得(利益)が増えるほど段階的に税率が上がる累進課税です。
<法人に課せられる税金>
法人税
<法人税の特徴>
法人税の税率は、次のように会社の所得で異なります。
- 所得が800万円以上:23.2%
- 所得が800万円以下:15%
※資本金1億円以下の会社(普通法人)の場合
したがって、所得(利益)が増えるほど、法人成りによる節税効果は大きくなるといえます。
(2)赤字を長く繰り越せる
2つ目のメリットは、赤字を長く繰り越せることです。
個人事業主と法人では、赤字を繰り越せる期間にも違いが生じます。
その具体的な違いを、以下にまとめました。
<個人事業主>
期間:3年間
※確定申告を行うことで、赤字の繰越控除が認められている。
<法人>
期間:10年間
このように、個人事業主よりも法人の方が、より長く赤字を繰り越せます。
たとえば、事業を営むなかで、「大きな赤字が出てしまった……」という場面を想定します。そうなると、3年間では相殺しきれない場面が出てくるかもしれません。
大きな損失が発生した場合だと、より長い期間赤字を繰り越せる法人の方が、税務上のメリットをより得やすくなります。
(3)決算期を自由に決められる
3つ目のメリットは、決算期を自由に決められることです。
決算期に関する、個人事業主と法人の違いは、下記をご確認ください。
<個人事業主>
1月1日~12月31日までの1年間に生じた所得を、翌年の3月15日までに確定申告する。
<法人>
「各事業年度に係る計算書類を作成しなければならない」とされている。
ただし、その決算期は自由に決めてOK。
個人事業主であれば、事業活動と確定申告の手続きで慌ただしくなる場面もあるでしょう。
一方で、法人であれば「事業の繁忙期を避け、決算期を設定する」なども可能です!その結果、個人事業主と比較すると、より円滑に事業に取り組みやすくなります。
(4)有限責任になる
4つ目のメリットは、有限責任になることです。
個人事業主と法人で、事業に対する責任の負い方も異なります。
詳細については、下記をご覧ください。
<個人事業主>
無限責任
無限責任の場合、事業で発生した借入金・取引先への支払いの義務を、すべて個人で負います。
<法人>
有限責任
出資した金額に応じ、責任を負うことになります。
有限責任であれば、倒産などになった場合、出資した範囲内でのみ返済の責任を負います。
個人事業主であれば、「事業がうまくいかなくなった」「取引先への未払い金が生じた」際は、個人の資産を充ててでも、支払いをする必要があります。
しかし、法人であれば、仮に「経営状況が悪化した」「倒産しなければならなくなった」際でも、出資した範囲内でのみ返済の責任を負います。
したがって、個人事業主よりも法人の方が、何かあったときに負債の負担を減らせるでしょう。
ただし、社長だけで成り立っている法人の場合、必ずしも有限責任とは限りません。もし著作権侵害などがあった際は、個人として損害賠償などを受けるリスクがあります。そのため、事業を個人のまま継続する法人は、有限責任にはなるものの、リスクを背負っていることを意識しておきましょう。
(5)社会的信用度が高まる
5つ目のメリットは、社会的信用度が高まることです。
個人事業主と法人では、社会的信用度も変わります。
たとえば、金融機関から借り入れをするケースで見てみましょう。
借り入れをする場合は、貸借対照表・損益計算書などの会計資料の提出を求められます。
<個人事業主>
各会計資料を、一から作成しなければならない。
<法人>
各会計資料は毎期作成しており、すぐに提出可能。
法人化した方が資金調達しやすいというのは、このような事情があるためです。金融機関からの借入れをする際は、法人の方が審査は通りやすくなります。
そのほか、個人事業主と法人の、具体的な社会的な違いをまとめました。
- 「会社という法人格をつくるほどの意気込みで、事業に真剣に取り組んでいる」というスタンスは、取引側としては、非常に大切な要素です。
「個人事業主とは取引しない」という会社も、見受けられます。 - 法人は個人事業主と違い、必ず登記を行います。この登記は誰でも閲覧可能なため、“どのような事業を行っているのか”を、すぐに確認できます。
そのため、「誰が責任者なのか」「どのような事業を行っているか」が一目で把握できます。
上記で説明した通り、法人化した方が社会的な信頼を得やすくなるでしょう。
個人事業主と比較すると、法人は社会的な信頼が高く、補助金や助成金の方が申請しやすいという面もあります!
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個人事業主が法人成りするデメリット5つ
前述したように、個人事業主が法人成りすると、さまざまなメリットがあります。
しかし、その一方でもちろんデメリットもあるため、事前に理解しておきましょう。
続いて、個人事業主が法人成りするデメリット5つをまとめました。
(1)設立に費用がかかる
1つ目のデメリットは、設立に費用がかかることです。
法人成りの形態により、費用は下記のように異なります。
- 株式会社の場合:最低約25万円(電子定款の場合は、約21万円)
- 合同会社の場合:最低約10万円(電子定款の場合は、約6万円)
また、設立の手続きを司法書士などに依頼する際は、さらにその分の費用が生じます。
(2)社会保険の加入義務がある
2つ目のデメリットは、社会保険の加入義務があることです。
個人事業主の場合は、従業員が5人未満であれば、厚生年金・健康保険への加入を任意で行えます。
しかし、法人の場合は、従業員の人数に関係なく、すべての法人に社会保険への加入が義務付けられています。これにより、従業員を雇う企業側は、以下のものを負担しなければなりません。
- 従業員の厚生年金
- 健康保険料の半分
そのため、個人事業主として従業員を雇う場合と比較すると、人件費が増加しやすくなります。
(3)赤字でも税金がかかる
3つ目のデメリットは、赤字でも税金がかかることです。
個人事業主で赤字となった場合、基本的に所得税や住民税が課されることはありません。
その一方、法人で赤字となった場合、法人事業税や法人税はかからないものの、法人住民税を支払う必要があります。
法人事業税や法人税、法人住民税の違いを、下記にまとめました。
法人事業税や法人税:
事業で得た所得を基準に計算される。
赤字の場合は、支払い義務が生じない。
法人住民税:
資本金や従業員数に応じて課税される均等割がある。
たとえ赤字決算の場合でも、納税が義務づけられている。
均等割は、自治体によって均等割の金額は異なりますが、年間で約7万円です。
なお、赤字となったとしても、下記の税金は支払いを行わなければなりません。
法人成りの際は、あわせて注意しておきましょう。
- 消費税
- 印紙税
- 自動車税
- 源泉所得税
- 登録免許税
- 固定資産税
- 住民税(特別徴収)
(4)各サービスの契約料金が上がる
4つ目のデメリットは、各サービスの契約料金が上がることです。
次のような各サービスは、法人名義で契約すると、契約手数料が変わる場合があります。
- 銀行のネットバンキング
- プロバイダーの契約 など
これらの金額は、小さい金額ではあります。
しかし、さまざまな契約が積み重なると、それなりの出費になるでしょう。
あまりにも出費がかさむと、自社の経営に影響を及ぼす可能性もあります。
事業をより軌道に乗せるためにも、注意しておきましょう。
(5)事務作業の負担が増える
5つ目のデメリットは、事務作業の負担が増えることです。
法人化により、次のような事項が義務付けられます。
- 決算書(企業の年間収益や費用をまとめた書類)
- 法人税申告書(年間の利益に対し、支払う法人税を計算するための書類)
すべて、自身で行うと負担が大きくなります。
しかし、税理士など専門家に委託すれば、当然ながら費用がかかります。
ただ「コストカットしたい……」と考えるあまり、事務作業に時間と体力を費やせば、本業がおろそかになる可能性もあります。
したがって、コスト・時間・工数など、バランスを掴むことが大切です。
個人事業主の法人成りには「ラクリア」がおすすめ!
これまでに説明したように、個人事業主が法人成りをするには、さまざまなアクションを起こす必要があります。
そのようななかで、「法人成りの手続きがわからない」「できる限り、手間を省きたい……」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
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メリット・デメリットを理解し、法人成りを検討しましょう
この記事では、個人事業主が法人成りするメリット&デメリット10選を解説しました。
個人事業主から法人成りすると、「節税できる可能性がある」「社会的信用度が高まる」など多くのメリットがあります。
その一方で、「設立に費用がかかる」「赤字でも税金がかかる」といったデメリットもあります。
そのため「節税対策や事業拡大として、法人化を検討している」という方は、メリット・デメリットを理解し、事業の方針を決めると良いでしょう。
個人事業主と比較すると、法人は社会的な信頼が高く、補助金や助成金の方が申請しやすいという面もあります!
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参考記事
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