この記事の目次
人的資本経営とは、以下のような経営手法のことです。
“人材=資本”の考え方を軸とし、人材へ投資することで、企業価値の向上を目指す経営手法
昨今では企業に対する、人的資本の情報開示要請が強まっています。
そのような背景によって、人的資本経営は、いま世界で大きな注目を集めています。
しかし、次のお悩みを持つ、企業のご担当者さまも多いでしょう。
- そもそも人的資本経営とは……?
- 自社でも実践したいけど、どのようにすれば良い?
この記事では、人的資本経営に関する基礎知識や、実践に向けた3つのステップを紹介します。
人的資本経営とは?
人的資本経営とは、前述した通り、“人材=資本”の考え方を軸とし、人材へ投資することで、企業価値の向上を目指す経営手法を指します。
また経済産業省は、人的資本経営を、次のように定義しています。
人的資本経営とは:
人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方
※上記でいう「資本」とは:
投資によって付加価値を生み出すことが可能なものを表します。
実際に投資家などのステークホルダー(利害関係者)は、企業の将来性を評価・判断する指標として、人的資本に注目しています。その結果、近年では以下の情報開示を強く求めるケースも増えているようです。
- 人材育成への取り組み
- 管理職登用の状況 など
加えて、政府は2023年度から一部企業に対して、有価証券報告書への人的資本情報記載の義務化を方針付けました。対象企業に関しては、事前準備を進める必要があります。
そのため、人的資本経営への取り組みと、人的資本の情報開示は、今後より重視されるでしょう。
人的資本経営に関する情報を、より詳しく知りたい方はこちらをご覧ください!
人的資本経営への注目度が高まっている3つの背景
次に、人的資本経営への注目度が高まっている、3つの背景を紹介します。
(1)ESG投資の浸透
人的資本経営が重視されている背景に、ESG投資が浸透したことが挙げられます。
ESGとは:
以下の3要素を指します。
- 環境(Environment)
- 社会(Social)
- ガバナンス(Governance)
ESG投資とは:
上記に配慮し、投資先を選定することです。
繰り返しとなりますが、投資家などのステークホルダー(利害関係者)は、企業の将来性を評価・判断する指標として、人的資本に注目しています。
そのため、下記の事項に対し、“企業がどのように取り組んでいるのかという姿勢(=人的資本経営の情報)”を、確認する場面も増えている状況です。
- 従業員の育成・労働環境の改善
- 環境問題への取り組み・社会貢献 など
投資家などのステークホルダー(利害関係者)が、企業の持続的な成長を判断するうえで、人的資本経営は、今後もより重視されるでしょう。
(2)技術の進歩
人的資本経営が注目されているのは、技術の進歩によって、競合他社との差別化が図りにくくなったこともあります。
現代はAI・ビッグデータなどによって、業務の効率化や最適化が可能になりました。しかし、技術やデジタルが進歩・普及したため、それだけでは競争に生き残るのは難しくなっています。
そこで、人的資本に投資すれば、「イノベーションを起こせるアイデア」「クリエイティブな発想」を生み出すチャンスが増えます。
そうすると、最終的には自社のブランディングを強化でき、ファンの増加・定着を大きく後押しするでしょう。したがって、人的資本経営により、競合との差別化につながる可能性が高いです。
(3)人材・価値観の多様化
人材・価値観の多様化も、人的資本経営が注目されている要因の一つです。
近年は女性の社会進出・グローバル化などによって、人材や価値観の多様性がより広がっています。
また場所や時間、雇用形態に縛られずに、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が求められるようになりました。
このような観点から、「多様な人材を効果的に活用する」「企業価値を高める」ためにも、人的資本経営の注目度が高まっているといえます。
人的資本経営の実践に向けた3つのステップ
この項目では、人的資本経営の実践に向けた、3つのステップを解説します。
(1)経営戦略・人材戦略を連動し、ビジョンを明確化
1つ目のステップは、経営戦略・人材戦略を連動し、ビジョンを明確化することです。
人的資本経営をスムーズに行うには、経営戦略に紐づいた、人材戦略の策定が重要です。
ただし、経営戦略・ビジネスモデルは、企業ごとに大きく異なります。
そのため、まずは自社の経営課題を整理し、目指す姿を明確化してください。
そのうえで、適切な人材戦略を立案・実行すると良いでしょう。
(2)KPIの設定・施策の考案、実行
2つ目のステップは、KPIの設定や施策の考案、実行に移すことです。
人的資本経営を進めるうえでは、経営戦略・人材戦略をもとに、“どのような施策を進めれば良いか”という、軸を定めることが大切です。
そこで、活用してほしいのが、KPI設定です!
KPIとは:
組織・チームでの設定した最終的な目標を達成するための、過程を計測・評価する指標です。
Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インディケーター)」の略で、日本語では「重要業績評価目標」「重要達成度指標」と呼ばれています。
KPIを設定する際は、投資家などのステークホルダー(利害関係者)から、「いかに信頼を高められるか」という視点で、内容を練っていくのも良いでしょう。
また、KPIの設定を終えたら、自社に必要な施策を洗い出し、適宜実行に移していきます。
(3)モニタリング・効果検証
3つ目のステップは、モニタリング・効果検証することです。
たとえば、効果検証には下記のような方法を用いると良いでしょう。
設定した目標への到達度や、施策実行による変化の推移を検証しやすくなります。
- 人事データの整理
- エンゲージメントサーベイ
- KPIを参考にした議論
また、効果的な施策を行うには、次のPDCAサイクルを回し、進めることも欠かせません。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
定期的なモニタリングの実施で効果を検証し、そこで得たデータの見直しや改善に努めましょう。
さらに自社の経営を軌道に乗せるため、効果的な施策へつなぐことを意識してください。
人的資本経営で、補助金を受け取れる可能性も!
人的資本経営に取り組むうえで、補助金・助成金を受け取れる可能性があります!
人的資本経営で重要な事項の一つとして、下記が挙げられます。
人的資本を高めること
また、人的資本を高めるための施策として、人材への教育は欠かせないといえるでしょう。
自社の従業員が持つスキル・能力を高めれば、結果的に企業価値向上につながります。
そのため従業員への教育計画を策定し、一人ひとりが成長できる環境を整えましょう。そういった目的を果たすため、研修やセミナーを活用する企業も、比較的多く見受けられます。
そこで活用したいのが、下記の補助金です!
- 「事業再構築補助金」
(対象経費:専門家経費、研修費) - 「ものづくり補助金」
(対象経費:専門家経費)
これらの補助金に関しては、業種・状況次第にはなりますが、申請できる可能性があります。
「今後、自社で従業員に研修などを行ってみたい」「教育体制をより充実させたい……」という場合は、補助金の活用をぜひご検討ください。
人的資本経営は、自社の成長を強く後押しします!
この記事では、人的資本経営に関する基礎知識や、実践に向けた3つのステップを解説しました。
技術の進歩や深刻化する人手不足をはじめ、近年は外部環境が目まぐるしく変化し続けています。
そのようななかで、自社の企業価値を高めるために必要なのは、下記の事項といえます。
人材をコストや資源ではなく、“投資対象の資本”として捉えること
企業間の競争が激しくなっている現代では、人材の価値を引き出す経営スタイルは欠かせないものです。自社の成長を強く後押しする、人的資本経営をぜひ実践してみてはいかがでしょうか?
株式会社リアリゼイションでは、国の補助金「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」のほか、助成金などの申請サポートを行っています!
事業者さまに合わせたカスタマイズサポートで、ささいなご相談から受給後まで、安心してお任せください。お困りごとはありませんか?
- 時間がない
- 事業計画書の作成に自信がない
- どの補助金を選べばいいかわからない
- そもそも要件にあてはまるのかわからない
など、「補助金・助成金」についてのお困りごとがある方はお気軽にご相談ください!
お問い合わせは、以下の「補助金・助成金相談窓口」からどうぞ。
【無料】今ピッタリの補助金が見つかる!かんたん診断受付中!
「自社に合う補助金ってどれだろう……」と、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。そこでぜひ活用していただきたいのが、弊社の“かんたん補助金診断”です。
この診断では複数のアンケートに回答するだけで、事業に活用できる補助金を提案できます。無料で利用できるため、ぜひこちらもチェックしてみてください。