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株式会社と合同会社の違いとは?
現在、日本では「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4形態があり、その中でも「株式会社」と「合同会社」が多く選ばれています。
実際に設立される会社の約80%が株式会社であり、約20%が合同会社という傾向が見られます。
株式会社と合同会社の最大の違いは、会社の所有者と経営者の関係です。
株式会社:株式を発行して資金を集めて設立される会社
株主と経営者(取締役)が別々であり、経営者である取締役は株主総会によって選任されます。株主は資本金を提供し、株主総会において意思決定を行う役割を担っています。
合同会社:会社の所有者である有限責任社員と経営者である業務執行社員が同じ会社
通常、全ての有限責任社員が業務執行社員となりますが、合同会社の定款によって一部の有限責任社員が業務執行社員ではないことが許される場合もあります。
【株式会社と合同会社の設立費用】
各種費用 | 株式会社 | 合同会社 |
定款印紙代 | 40,000円 (電子定款の場合は不要) | 40,000円 (電子定款の場合は不要) |
定款認証手数料 | 50,000円 | 0円 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
定款の謄本代 | 約2,000円 | 0円 |
合計 | 242,000円〜 | 100,000円〜 |
合同会社は定款認証が不要で、登録免許税も6万円となるため、設立費用の総額が約14万円抑えられる利点があります。
【株式会社と合同会社の違い】
違いのある項目 | 株式会社 | 合同会社 |
定款の作成 | 必要 | 必要 |
定款の認証 | 必要 | 不要 |
設立登記 | 必要 | 必要 |
出資者の名称 | 株主 | 社員 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
代表者 | 代表取締役 | 代表社員又は業務執行社員 |
取締役の任期 | 2~10年 | なし(定款で定める事も可) |
決算公告 | 必要 | 不要 |
定款変更の方法 | 株主総会での特別決議 | 総社員の同意(定款で別に定める事も可) |
株式会社のメリット・デメリット
【株式会社のメリット】
・社会的認知度・信用度が高く、新規顧客の開拓、銀行融資、人材募集等に有利
・銀行融資以外にも投資家等からの資金調達も可能で資金調達の選択肢が多い
【株式会社のデメリット】
・設立費用が高い
・決算公告が義務付けられている。役員の任期が定められているため定期的な役員変更登記の申請も必要なので、事務手続きに必要な手間やコストが多い
・剰余金として配当される金額は原則株式数によって決まる
(但し、優先株式等を発行する事によって調整する事は可能)
合同会社のメリット・デメリット
【合同会社のメリット】
・設立費用が安価(株式会社と比較すると約14万円も設立費用が安い)
・決算公告が不要。定款で別に定めない限り業務執行社員の任期もないため役員変更登記の申請も不要なので事務手続きに必要な手間やコストが少ない
・原則として会社の所有者にあたる有限責任社員が全員業務執行社員になるため、株主の意向を気にすることなく経営サイドでの意思決定ができるため経営の自由度が高い
・定款に別に定める事により出資額に関わらず利益の配分を自由に決める事ができる
【合同会社のデメリット】
・株式会社と比べて圧倒的に認知度、信用度が低い
・株式市場への上場はできない
・株式会社と比べると資金調達の選択肢が少ない
【株式会社と合同会社のメリット・デメリットまとめ】
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
設立費用 | 高い(約242,000円〜) | 安い(100,000円〜) |
信用度 | 高い | 低い |
資金調達 | 選択肢も多く信用度も高い | 選択肢が少なく信用度も低い |
株式公開・上場 | 可能 | 不可 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
利益配分 | 原則株式数株数に応じた金額を配分 | 原則出資額に応じた金額を配分(但し、定款で別に定める事により自由に決定できる) |
株式会社と合同会社、どちらを選べばいいの?
【株式会社に向いている】
・会社を大きくして上場したい
・資金調達や融資を受けて事業をどんどん拡大したい
【合同会社に向いている】
・事業や会社規模の拡大よりもスモールビジネスで維持費を抑えて経営したい
・経営サイドで意思決定ができる自由度の高い経営をしたい