バブル崩壊の影響で深刻な就職難を経験した就職氷河期世代。彼らの中には、やむを得ず非正規として働き続けている人が多くいます。
今、そんな就職氷河期世代の活躍を支援する動きが見られます。厚生労働省が発表した「令和4年度概算要求の概要」で、「特定求職者雇用開発助成金 就職氷河期世代安定雇用実現コース」の概算要求が増えました。本制度は就職氷河期世代のキャリア形成を支援する目的で作られました。
この記事の目次
1. 「特定求職者雇用開発助成金 就職氷河期世代安定雇用実現コース」とはどんな制度?
本制度はいわゆる就職氷河期に就職の機会を逃したことなどにより、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用労働者としての就業が困難な方を支援する目的で作られたものです。その就職を促進するため、対象労働者を正規雇用労働者として雇い入れる事業主に対して助成金が支給されます。
また、令和2年2月14日以降の紹介および雇い入れからが本制度の対象になります。
2. 支給の対象となる事業主とは
以下の(1)~(6)全てに当てはまる事業主が本制度の支援対象になります。
- (1)雇用保険の適用事業主であること
- (2)対象労働者をハローワークなどの紹介によって正規雇用労働者(※)として、かつ雇用保険の一般被保険者(一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者を除く)として雇用することが確実であると認められること
- (3)対象労働者の雇入れ日の前後6カ月間(以下「基準期間」)に、事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと
- (4)対象労働者の雇入れ日よりも前に本制度の支給決定がなされた者を、支給申請日の前日から過去3年間に、その助成対象期間中に事業主の都合により解雇などをしていないこと
- (5)基準期間に、倒産や解雇など特定受給資格者となる離職理由で離職した被保険者数が、対象労働者の雇入れ日における被保険者数の6%を超えていないこと(特定受給資格者となる離職者が3人以下の場合を除く)
- (6)対象労働者の出勤状況や賃金の支払い状況などを明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など)を整備・保管していること
※正規雇用労働者とは、以下の(ア)~(ウ)の全てに該当する方とします。ただし、一週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である短時間労働者は除きます。
また、正規雇用労働者について就業規則などにおいて定められていることが必要です。
- (ア)期間の定めのない労働契約を締結している労働者であること
- (イ)所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の所定労働時間(週30時間以上)と同じ労働者であること
- (ウ)同一の事業主に雇用される通常の労働者に適用される就業規則などに規定する賃金の算定方法および支給形態、賞与、退職金、休日、定期的な昇給や昇格の労働条件について、長期雇用を前提とした待遇が適用されている労働者であること
3.支援の対象となる求職者とは
以下の(1)~(4)全てに当てはまる求職者が本制度の支援対象になります。
- (1)1968年(昭和43年)4月2日から1988年(昭和63年)4月1日の間生まれの方
- (2)雇入れの日の前日から起算して過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない方
- (3)ハローワークなどから紹介された時点で、失業しているまたは非正規雇用労働者である方でかつ、ハローワークなどにおいて個別支援等の就労に向けた支援を受けている方
- (4)正規雇用労働者として雇用されることを希望している方
令和2年2月14日以降に、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者の紹介で新たに正規雇用労働者として雇用された場合、雇用した事業主に対して助成金が支給されます。
4.助成額と支払い方法について
対象期間を6ヵ月ごとに区分し、一定額の助成金を支給します。
なお、助成額は企業の規模によって異なります。
※( )内は中小企業以外の企業に対する支給額・助成対象期間です。
5. 申請までの流れ
- (1)ハローワーク等からの紹介
- (2)対象者の雇入れ
- (3)助成金の第1期支給申請
- (4)支給申請書の内容の調査・確認
- (5)支給・不支給の決定(申請事業主に通知書送付)
- (6)助成金の支給
※第2期支給申請の場合も(3)~(6)と同様の手続きが必要です。
6.まとめ
ダイバーシティーが叫ばれる今、企業においてもさまざまな人材の確保が重視されるようになりました。
「特定求職者雇用開発助成 特定就職困難者コース」は、そんな企業を後押ししてくれる制度です。
本制度を有効に活用し、多様な人材が活躍する職場づくりに取り組んでみませんか。
出典:厚生労働省