この記事の目次
CRE戦略について
最初に、CRE・CRE戦略に関する概要を紹介します。
CREとは
CREとは、1960年代に米国で発祥した概念です。
「Corporate Real Estate」の略で、直訳すると「企業不動産」という意味になります。
たとえば下記のように、企業が保有している不動産がCREに該当します。
- 事業を行うために必要なオフィス・工場、倉庫
- 社宅
- 保養所
- 遊休地
- 福利厚生施設など
CRE戦略とは
CRE戦略とは、CRE(=企業不動産)を経営に活用するための戦略です。
2008年4月に国土交通省が公表した「CRE戦略を実践するためのガイドライン」では、次のように定義されています。
企業不動産について、「企業価値向上」の観点から経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方を示すもの
またCRE戦略の目的として、下記が挙げられます。
- 経営資源としてのCREを最大限に有効活用すること
- 各企業が競争力を高めること
- 日本全体の競争力を高めること
これまでは多くの企業が異なる意思決定プロセスで、企業不動産に対応していました。
その結果、それらの価値を有効活用できない状況が続いていたそうです。
一方でCRE戦略は、企業の経営戦略の一環として不動産利活用に取り組み、企業価値を最大限高めることを目指しています。
CRE戦略が企業にもたらす効果3つ
次に、CRE戦略が企業にもたらす効果3つをピックアップしました。
(1)キャッシュフローの改善
1つ目は、キャッシュフローを改善できることです。
たとえば、CRE戦略を取り入れるなかで、下記のようなアクションを起こすとします。
そうすると、本業以外で長期安定の収益源が確保できるでしょう。
- 売却して得た資金で、新規事業を興す
- 再評価した不動産の用途を変更し、賃貸事業を展開する
そして最終的に、多方面にわたる企業経営も可能になっていきます。
CRE戦略により、事業でプラスとなる動きを生み出せれば、少しずつ自社のキャッシュフローが改善されていくでしょう。
(2)リスク除去・分散・軽減
2つ目は、経営におけるリスクを除去・分散・軽減できることです。
なぜなら、CRE戦略によって、本業以外の収益の柱を構築できるため。
自然災害や世界情勢等による予測不能な事態が起き、本業の業績が大きな影響を受ける可能性もゼロとは言い切れません。
そのような場合も、決算対策として資産価値の高い不動産を売却すれば、経営危機を乗り切る保険となります。
“CRE戦略で経営危機を乗り越えた”事例については、以下をご覧ください。
<企業事例:CRE戦略で経営危機を乗り越えた!>
業種:大手アパレル企業
状況:本業の業績が厳しくなった
アクション:一等地に保有していたビルを売却
結果:企業価値の維持に成功!
(3)ブランディングの強化
3つ目は、自社のブランディングを強化できることです。
ただし、CRE戦略でブランディングを強化を成功させるには、条件があります。
代表的なものを、下記にピックアップしました。
- 保有不動産の建物・設備、立地条件が良いこと
- 働きやすい環境づくりにより従業員満足度を向上すること など
このような条件を満たせれば、「自社の認知度が上がる」「ブランドイメージが上がる」確率が上がります。
“CRE戦略でブランディングを強化できた”事例については、以下をご覧ください。
<企業事例:CRE戦略でブランディングを強化できた!>
業種:大手飲食業(コーヒーショップ)
状況:新店舗を出店が決定、周囲の景観を壊さずに新しい建物を用意する必要があった
アクション:土地の環境・文化に溶け込む建築造形に定評のある、有名建築家に設計を依頼
結果:街並みを損なわず、かつユニークな店舗が完成。現在も多くの人が訪れる人気店に!
CRE戦略を企業が実行する手順4ステップ
続いて、CRE戦略を企業が実行する手順4ステップをまとめました。
(1)リサーチ
まずは、リサーチを重ね、CRE情報の棚卸しを行います。
具体的には、以下のようなプロセスを踏むと良いでしょう。
- 自社の不動産について、物理的・権利的・経済的などの観点から状況を把握する。
- 市場価格の調査も実施、現状の価値を正しく把握する。
- あわせて、潜在的なリスクも検出しておく。
このようなリサーチを進めれば、経営戦略の観点から、“不動産を最大限活用するための分析・判断材料”を得やすくなります。
(2)プランニング
次に、プランニングを行いましょう。リサーチによって得た保有不動産の最適な運用方法を検討し、戦略を策定していきます。
戦略を策定する際は、あわせて下記のようなアクションも取り入れましょう。
- 会社の財務への影響分析
- 戦略実行による、効果のシミュレーション
また、不動産活用以外の面でもメリットが期待できることは、計画しておくと良いでしょう。
具体的な例については、以下をご確認ください。
- 不要な不動産があれば、その処分案を検討する
- 不動産の管理コストが大きければ、その低減策を立案したりする
(3)プラクティス
続いて、プランニングを踏まえたうえで、必要なアクションを実行に移します。
具体例を、下記にピックアップしました。
ぜひ参考にしてください。
- リノベーション
- 不動産の売却や購入
- 管理会社の業務の見直し
- 戦略に基づいた不動産用途の変更など
(4)レビュー・アクト
最後に、レビュー・アクトを実践します。
前の項目で説明した、“プラクティスによる結果が、プランニングの時点で企図していた通りになっているか”を、比較・検証しましょう。
もし思ったような成果が得られていない場合は、「原因を追究・把握すること」「見合った改善策を検討すること」が重要です。
CRE戦略を成功させた企業事例
最後に、CRE戦略を成功させた企業事例を紹介します。
ITを活用&不動産管理をワンストップ化
CRE戦略で大切なのは、企業不動産を売却したり、建て替えたりすることだけではありません。適切に管理することも、見落としてはいけない要素です。
たとえば、数十件以上の企業不動産を保有する企業があるとします。その場合、企業不動産を管理するための専用管理システムを導入し、不動産情報を視覚化すれば、ワンストップで管理を行えます。
そうすると、不要な不動産をまとめて売却することなどが可能です。そして最終的に、CRE戦略を策定したり、実行したりしやすくなるでしょう。
旧耐震建物の耐震補強工事&助成金申請
旧耐震建物を保有している企業は、下記いずれかの対応を検討することもあるでしょう。
- そのまま建物を残して耐震補強する
- 建物を解体して新しく建物を新築する
耐震補強は「現状がどの程度の耐震性を保有しているか」「どの程度の耐震補強工事が必要なのか」によって、大きく費用が異なります。
また、耐震診断の結果、建物本体の強度が比較的強かったり、耐震補強にかかる費用がそこまで高くなかったりすれば、耐震補強する企業も多いかと思います。
なお、耐震補強にあたり、補助金・助成金が申請できる場合があります!
自治体などにおける補助金・助成金の取り組みなども、あわせて調査すると良いでしょう。
株式会社リアリゼイションでは、国の補助金「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」のほか、助成金などの申請サポートを行っています!
事業者さまに合わせたカスタマイズサポートで、ささいなご相談から受給後まで、安心してお任せください。お困りごとはありませんか?
- 時間がない
- 事業計画書の作成に自信がない
- どの補助金を選べばいいかわからない
- そもそも要件にあてはまるのかわからない
など、「補助金・助成金」についてのお困りごとがある方はお気軽にご相談ください!
お問い合わせは、以下の「補助金・助成金相談窓口」からどうぞ。
CRE戦略で自社の企業価値を高めましょう!
この記事では、CRE戦略について解説しました。企業にもたらす効果や具体的な手順4ステップなどを紹介しましたが、いかがでしたか?
CRE戦略は、中長期的に企業価値を向上させ、経営を安定させる重要なものです。
企業の経営資源の「ヒト・モノ・カネ」のうち、「モノ」に該当する不動産は、適切な戦略・運用により、大きな資産価値を発揮します。
今後も多くの企業において、取り組むべき重要な課題といえるでしょう。
また、状況次第にはなりますが、補助金・助成金を活用できる可能性もあります。
CRE戦略をするうえで、「補助金・助成金に関する情報が知りたい……」という企業のご担当者さま!
ぜひ一度弊社リアリゼイションまで、お気軽にお問い合わせください。
【無料】今ピッタリの補助金が見つかる!かんたん診断受付中!
「自社に合う補助金ってどれだろう……」と、お悩みの方もいらっしゃるでしょう。そこでぜひ活用していただきたいのが、弊社の”かんたん補助金診断”です。
この診断では複数のアンケートに回答するだけで、事業に活用できる補助金を提案できます。無料で利用できるため、ぜひこちらもチェックしてみてください。