会計限定監査役の役割とは?登記は必要?

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目次

会計限定監査役の役割とは?

通常の監査役とは異なり、会計監査に特化した役割を持つ「会計限定監査役」という役職があります。
監査役会も会計監査人も設定していない公開会社でない株式会社は、定款に定めることで監査役の監査の範囲を会計監査に限定することができます。
会計限定監査役は、株主総会において選任されます。
会計限定監査役特有の退任理由として「定款における会計監査の範囲を廃止した場合」があります。
会計監査しか権限がない監査役が業務監査の権限も持つことになった際に、再度適任の監査役を選び直す必要があります。

会計限定監査役の権利とは

会計限定監査役の義務や権利を解説します。
(1)計算書類等の監査と監査報告の作成

会計限定監査役を含む監査役設置会社では、計算書類や事業報告等について監査役の監査を受ける必要があります。

会計限定監査役は、「事業報告を監査する権限がないこと」を明らかにした監査報告を作成します。また、監査報告を作成するにあたって取締役らと意思疎通を図り、情報収集や監査環境の整備を行います。

(2)株主総会提出議案・書類の調査

株主総会に提出する会計に関連する議案や書類等を調査し、その結果を株主総会に報告します。

(3)会計帳簿等の閲覧・謄写権

会計帳簿やこれに関する資料をいつでも閲覧・謄写できます。

(4)取締役・使用人等に対する報告請求権

取締役・会計参与・支配人、その他の使用人に対し、いつでも会計に関する報告を求められます。

(5)会社業務財産調査権

職務を行うために必要なときは、会社の業務や財産の状況を調査できます。
会計監査に限定されない監査役は、いつでも会社の業務・財産の状況を調査できます。

(6)子会社に対する報告請求権・調査権

職務を行うために必要があるときは、子会社に対して会計に関する報告を求められ、子会社の業務や財産の状況を調査できます。

会計限定監査役は登記が必要?

「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」がある株式会社は、会計限定監査役の登記が必要です。
平成27年5月1日以降に初めて就任または退任する監査役と同時に、会計限定監査役の定めの登記を行うことで、登記懈怠(けたい)の問題は回避できます。
 
※登記懈怠(けたい)とは、登記を申請する必要があるのにこれを怠っている状態のことです。
平成18年4月30日以前に設立され、次の条件にあてはまる株式会社は、実際の定款に「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め」が定められていなくても、その旨の定めがあるものとみなされています。そのため、会計限定監査役の定めの登記申請が必要です。

会計限定監査役の登記すべき事項とは

・登記すべき事項
「資格」:監査役の監査の範囲に関する事項
「役員に関するその他の事項」:監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある
・添付書類
定款または監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあることを証する書面
書面については法務省ホームページに雛形があります。

 登録免許税はかかりますが、役員変更の登記の登録免許税と同じ金額が適用されます。

そのため、役員変更の登記と同時に申請すれば、実質的には登録免許税を二重に支払う必要はありません。
登録免許税の区分が同じであれば、1つの申請書でまとめて申請することができますので、複数件の登記申請を行っても金額は変わらず、効率的です。