【法人向け】履歴事項全部証明書とは?取得方法や手数料を解説!

登記された会社の情報を確認する書類の1つである、「履歴事項全部証明書」。会社の状況を確認したり、より円滑な取引を実現したりする場面において、大きく役立ちます。しかし取得を検討するにあたって、「どのような方法で取得すれば良いの?」「かかる費用が気になる…」と悩まれる方も多いようです。そこで本記事では、法人向けに履歴事項全部証明書を具体的に取得する方法、必要な手数料などをまとめました。自社を経営する際に参考になる情報を厳選したため、ぜひご覧ください。

この記事の目次

履歴事項全部証明書とは?

「履歴事項全部証明書」とは、登記された会社の情報を確認する書類の1つです。現在の会社の情報に加え、請求日の3年前に属する日の1月1日以降に抹消・変更された情報の履歴も記載されています。

これらの情報は会社の取引先などの関係者が閲覧できるため、次のような場面で役立つでしょう。

・会社の状況を確認する
・より円滑な取引を実現する

また登記簿謄本と呼ばれることもある「登記事項証明書」には、下記の2種類があります。

・全部事項証明書
・一部事項証明書

全部事項証明書には、株式や資本金の登記内容を指す「株式・資本区」や、役員の登記内容を指す「役員区」等、全ての区分が記載されています。いわゆる「会社の謄本」といえるでしょう。

一方で「一部事項証明書」には、取得時に指定した一部の区分についての情報のみ記載されています。登記事項証明書の提出が求められた場合、基本的に全部事項証明書を提出すれば問題ありません。

履歴事項全部証明書と登記事項証明書(登記簿謄本)の違い

「履歴事項全部証明書と登記事項証明書(登記簿謄本)の違いは、具体的にどう違うの?」

このような疑問をお持ちの方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

前述したように、登記事項証明書(登記簿謄本)とは、法務局へ登記されている事項を記載した書類の総称です。そして「履歴事項全部証明書」は、その中の1つとなります。

また、履歴事項全部証明書以外にも、次のような証明書が存在します。

なお「登記事項証明書」と「登記簿謄本」は、実質的には同じ書類を指しますが、管理方法が“紙か電子データか”により、呼び方が異なります。詳細については、下記をご覧ください。

慣習的に「登記簿謄本を提出してください」と言われることもありますが、多くの場合は「履歴事項全部証明書」のことを指します。したがって、こちらの書類を用意しておくと安心でしょう。

履歴事項全部証明書が必要なシーン

履歴事項全部証明書の取得が必要になるシーンとして、下記が挙げられます。

このように特定の法人について、現在の登記内容に加え、より詳しい情報が求められる場面で用いられます。

また基本的に税務署や都道府県税事務所、市町村役場など数ヶ所で手続きします。提出先が多岐にわたるため、コピーの可否や必要な枚数を事前に確認しておくと良いでしょう。

履歴事項全部証明書を取得する方法

履歴事項全部証明書を含む、登記事項証明書は法務局で発行されます。しかし、必ずしも法務局に出向く必要はありません。

また履歴事項証明書を交付請求するには、主に3つの方法があります。1つずつ解説しますので、参考にしてください。

法務局・登記所の窓口から直接請求

「登記事項証明書交付申請書」を提出すると、基本的に全国どこの法務局の窓口でも、履歴事項全部証明書の申請を行えます。

都道府県にいくつか法務局があるため、ぜひこちらで検索してみてください。

なお窓口の受付時間については、下記の通りです。

曜日:月曜日から金曜日(年末年始・土日祝日など法律に定められた休日を除く)
時間:8時30分~17時15分

即日に交付を受けられるため、お急ぎの際には窓口での交付をおすすめします。

また実際に請求する際は交付申請書に必要事項を記載し、法務局の窓口にて提出します。こちらは法務局に備え付けてありますが、法務局のホームページからもダウンロード可能です。

加えて、法務局によっては証明書発行請求機が置いてある場合もあるため、発行請求機を利用し請求もできます。

窓口での交付と比較すると、発行請求機の方が待ち時間が少なく、申請書を書く手間を省けます。操作方法が分からない場合は、法務局の職員に直接確認すると良いでしょう。

郵送にて法務局の窓口に請求

郵送で法務局の窓口に請求もできます。
必要な流れについて、下記で詳しくまとめました。

そうすると数日後には、法務局から郵送で履歴事項全部証明書が届きます。ただし郵送する際は、「自分の住所を記載すること」「切手を貼った返信用の封筒も同封すること」を忘れないようにしましょう。

郵便での請求は時間がかかることや、申請書に不備がある場合すぐに修正できないのが難点といえます。したがって、時間に余裕がある際に行うと良いでしょう。

インターネット上にてオンライン請求

法務省の登記・供託オンライン申請システムを通じ、インターネットでも「登記事項証明書交付申請書」を請求できます。

こちらの利用可能時間は、平日の8時半から21時までです。法務局の窓口や郵送での請求以外にオンライン上での請求も行えます。

オンライン上で会社の登記簿謄本を請求した場合、指定した法務局の窓口で交付を受けることができるだけでなく、指定した送付先に郵送請求も可能です。さらに郵送の場合にも、こちらから返信用封筒などを送る必要はありません。

オンライン上で郵送請求をした場合は、到着まで2.3日要することが多いです。そのため、特にお急ぎでない方はこちらの方法も検討されると良いでしょう。

履歴事項全部証明書の取得にかかる費用

履歴事項全部証明書の取得にかかる費用を見ていきましょう。以下の図のように、必要な金額は請求方法や受け取り方法によって異なります。また先ほど述べたように、郵送の場合は返信用の切手を同封する必要があるため、ご注意ください。

窓口

600円/1通

郵送

600円/1通

オンライン申請(受け取り:窓口)

480円/1通

オンライン申請(受け取り:郵送)

500円/1通

 出典:登記手数料について(法務省)

まとめ

履歴事項全部証明書は、会社の登記情報を証明する登記事項証明書(登記簿謄本)の1つとなります。「会社を設立した後の手続き」「法人における補助金や給付金等の申請手続き」等、必要となるタイミングは比較的多いです。そのためいざという時に慌てずに済むよう、履歴事項全部証明書の取得方法などを事前に把握しておくと良いでしょう。